思考
あれは、小学6年のクリスマスイブ。友達に誘われて参加した、一日限定のボランティア合唱団。30人ほどの小中学生が歌いながら街をそぞろ歩くそのイベントで、開始早々私は無力感に苛まれていた。 どれだけ精一杯声を張り上げても自分の歌声が聴こえないのだ…
おとなしい子だった。気を付けていないと、その存在を素通りしてしまうほどに。Mちゃんが話す声はとても小さくて、耳を澄まさなければ皆の耳に届かない。それなのに、只者ではない空気感を漂わせていた。何かを悟ったかのような、大人びた目をしていたからだ…
ゼロ100人間はバックする術を知りません。ただひたすらに前へ前へとアクセルを踏み続けます。 ゼロ100人間はブレーキの存在を忘れがちです。一度走り出したら止まることができません。 ゼロ100人間はニュートラルを活用できません。「惰性?なんだそれ?」意…
「月にはウサギが住んでるんだよ。」 「私も昨日見た!お餅ついてたよね。」 お月見の次の日。みんなが月のウサギの話で盛り上がっている。だが、私には見えなかった。どれだけ目を凝らしても。 「どうして私にはウサギが見えないのかなぁ?」 ある日、ふと…
夫から学ぶことの多い私だが、その受け止め方にはちょっとしたコツが必要なときもある。 例えば…私「今日、何食べたい?」夫「なんでもいいよー」 この「なんでもいい」を彼は至るところで多用する。ポジティブ人間ゆえの「なんでもいい」なので、本当になん…
小さい頃は極度の人見知りで、当然友達作りは大の苦手だった。自分から話しかけるなんて芸当はできるはずもなく、せっかく話しかけてくれても直ぐには言葉が出てこない。クラスメイト達は待ちくたびれて離れていった。当たり前だ。話しかけても答えてくれな…
先日、久しぶりに大学時代のバイト仲間達で集まって食事をした。久しぶりに会うと必ず盛り上がるのが「あのときこんなことあったよね」大会。次々と挙げられていく過去エピソードの中に、それぞれの印象が見え隠れする。エピソードそのものだけでなく、当時…
昨日、夫がやらかして帰ってきた。間違えて女性専用車両に乗ってしまったというのだ。階段を駆け上がり、発車間際に滑り込んだので全く気づかなかったらしい。けっこう混んでいたため車両を移ることも出来ず、次の駅に着くまで非難轟々の視線が突き刺さり生…
「そういえば、E先生最近見かけないね。移動かな。」「あれ、知らなかった?適応障害で休職してるらしいよ。」 以前、長男の担任だったE先生は、30代前半の落ち着いた女性。真面目で思いやりがあり、生徒からの信頼も厚い印象だ。長男も大変お世話になった。…
眼差しに 色がつけられたらいいのにな あなたを見守る私の目は どんな色に見えていますか? 無闇に手伝おうとしない私を 冷たく感じていませんか? あなたが信じる道を私も信じていることに 気付いてくれていますか? 私にはあなたがオレンジ色に見えていま…
末っ子の一人娘のため、特に父からは猫可愛がりされて育った。 父には理想の女性像があった。娘をそのように育てたい一心だったのだろう。幼い頃から耳がタコになるぐらい聞かされてきた言葉がある。 「馬鹿になれ」 営業畑の父は、超がつくほどの高級クラブ…
先日、出先で見つけた古い看板。 「よい子に注意 よい子も注意」 ??? どういう意味??? 恐らく、 運転者に対しては 「子どもに注意して運転してね」 子どもに対しては 「車に注意してね」 そういうことなのでしょう。 そうだとすれば この標語は 「よい…
人とは戦わない主義のワタクシですが、この度、AIに宣戦布告させていただきます! 最近、YouTubeを開く度、私へのオススメとして出てくる動画に辟易している。 それは、コモドドラゴンの狩りの様子。イボイノシシや子鹿に噛みついて、丸呑みするというもの……
人は思いがけず自分の強さに気付く瞬間がある。 数年前、ある病に襲われ数カ月寝たきりになった。全身が激痛に支配され、眠ることさえままならない。頭だけはクリアなのが逆に地獄で、毎日痛みを堪えながら考える。 「どうして私がこんな目に?」と。発病当…
私の人生は「まぐれ」の連続だ。 ピアノの発表会、部活の試合、受験、就活…。 なぜだか分からないが、本番ではことごとく実力以上の力が出る。 当然、人からは羨まれる。 が、「まぐれ」で何かを得てしまうと、その後が恐ろしく大変だということを皆は知らな…
「この子、また選ばないんだ」「ほんと優柔不断ねー」 コラコラ、心の声が顔に出ちゃってますよ、お姉さま方! 職場の同僚Kちゃんは、絵に描いたような奥ゆかしさの持ち主だ。何かを分け合うとき、彼女は決して我先に"選ぶ"ということをしない。 差し入れの…
「一人一人が主人公」 よく耳にするフレーズですが、映画やドラマの主人公を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。私も以前はそうでした。でも今は、漫画の主人公になってみたいなぁ。四コマの。 映画やドラマは壮大過ぎて、なんだか気後れしてしまう…
嘘みたいな話だが、イメージの体得はまさかの瞬間に起こり得る。 あれは高校生のときのこと。電車だと遠回りになるので、普段は自転車で通学していたのだったが…。 その日は生憎の雨模様だった。こんな日に寝坊するなんて!電車で行けば遅刻確定だ。 仕方な…
読書好きな方なら、バイブル的な本を一冊はお持ちなのではないでしょうか。 心の支え、生き方のお手本、仕事上の専門的な指針など、その意義は人により様々かと思います。 さて、私のバイブルは、アガサ・クリスティの『ゼロ時間へ』です。アガサの本と出会…
子供の頃は、「人の真似をするのはダサい」という風潮がクラス内に当たり前にあった。 『オリジナリティこそ正義!』 そう信じて疑わなかったのである。 実際、誰かが人の真似をすると、「お前、マネするなよ!」などと、からかわれたり批判されたりしたもの…
小学生の頃、クラスに少し変わったNくんという男の子がいた。大きい音や声が苦手で、後ろから急に話しかけられるとパニックになり、教室から走って出ていってしまう。 学校には中庭に小さな池のようなものがあったのだが、その側を通る時にNくんがよろけたの…
基本的に、人と争わない主義だ。 だが、人はことあるごとに争いをしかけてくる。争わずして成長はないと説く人もいるが… それでも私は争いたくない。自分以外の誰かとは。 『自分』は宇宙並みに謎だらけの対戦相手だ。上限も限界もわからない。もし勝つこと…
大勢の人の前で話すのが苦手だ。スピーチに限らず、発表会などで多数の視線を浴びること。つまり、大勢から注目されるのが苦手なのだ。 「観客をジャガイモと思いなさい」なんて説もあるが… 本当に人がジャガイモに見える方がいたら、是非コツを伺いたいとこ…
呼び方ひとつで関係性は大きく変わる。それを実感したのは、後に最も信頼できる友人となる、Nちゃんとの出会いの場でした。 あれは長男が2歳になってすぐのこと。それまで住んでいた都会の賃貸が手狭になり、私たち家族は郊外のマンションを購入し、春先に越…
自然が大好きです。 心に靄がかかったり、なんだかザワザワするとき、自然界に身を委ねると一旦無に戻れる。というとなんだか格好いいですが、具体的には・・・ 「だからなんやねん」が落ち葉のごとく降り注いできて強制終了させられる、みたいな感じ? 「だ…
人との会話は楽しいものだが、時々違和感を感じることがある。それは、話題の主人公を全て自分に置き換えてしまう人との会話だ。 誰かが提供した話題が、途中から違う人に乗っ取られて一人語りの展開になり、その場が微妙な空気に包まれる。 何かしら理由を…
以前、店主の愛想が悪いことで有名な珈琲店をわざわざ訪れたことがある。どんな人なんだろう?と、逆に興味をそそられて。 噂通り、とてつもなく無愛想な店主だったが…その店のコーヒーはとてつもなく美味しかった。 無愛想な店主が淹れる、奥行きのある味わ…
先日、突然髪を整えたくなり、当日予約ができる美容室を探して出かけた。 仕事時はまとめ髪だし、髪型にそこまでのこだわりはないほうだが…。とはいえ、こちらが伝えたイメージ通りに仕上げてもらうとやっぱり嬉しいものだ。 今回は初めてのお店だったからあ…